ドラゴンボール完全版と新装版の違い!背表紙やラストを徹底比較

いつもありがとうございます。ユモカンパニーです。
日本が世界に誇る伝説的漫画『ドラゴンボール』。
ふとした瞬間に「あ、久しぶりに悟空の冒険が読みたいな」と思ったり、自分の子供に「この面白さを伝えたい!」と考えたりすることってありますよね。
いざ購入しようとネットで検索してみると、「完全版」「新装版」「総集編」など、あまりにも多くの種類が出てきて混乱してしまいませんか?
特に「新装版」と「完全版」の違いは何なのか。
ラストシーンに加筆修正があるというのは本当なのか。
こうした疑問は、多くの人が抱える悩みです。
安い買い物ではないからこそ、絶対に後悔しないセットを選びたいですよね。
※なお、完全版の特徴を分かりやすく解説するため、記事の後半に「最終回のプチネタバレ」が含まれます。その点だけ踏まえて読み進めてくださいね。
この記事では、古本買取の現場で数多くの漫画に触れてきた私が、それぞれのバージョンの物理的な仕様から、物語の解釈に関わる重要な変更点までを徹底的に比較解説します。
これを読めば、あなたの目的にぴったりの「ドラゴンボール」が見つかるはずです。
この記事のポイント!
- 「新装版」という名称の誤解と、実際に選ぶべき「完全版」の正体
- A5判へのサイズアップによる画質の向上と、鳥山明のペンタッチの迫力の違い
- 「旧単行本のコミカルな繋ぎ絵」vs「完全版のモダンな一枚絵」背表紙対決
- 最終回の加筆修正の内容と、それぞれのエンディングがもたらす読後感の違い
ドラゴンボール完全版と新装版の違いを徹底比較
まず最初に、言葉の定義をはっきりさせておきましょう。
実は、『ドラゴンボール』の出版史において、公式に「新装版」という名称の商品シリーズは存在しません。
これは『SLAM DUNK』のように明確な「新装再編版」が出ている作品とは異なる点です。
一般的に皆さんが「ドラゴンボール 新装版」と検索する際、そのイメージの先にあるのは、2002年に刊行がスタートした「完全版(Kanzenban)」であることがほとんどです。
したがって、本記事では「旧単行本(ジャンプコミックス)」と「完全版(事実上の新装版)」の違いを軸に解説を進めていきます。
判型サイズと読みやすさを比較

手に取った瞬間に分かる最大の違いは、本の大きさ、すなわち「判型(はんけい)」です。
圧倒的な情報量を持つA5判
昔ながらの単行本(ジャンプコミックス)は「新書判(176×113mm)」というコンパクトなサイズですが、完全版は「A5判(210×148mm)」というひと回り大きな規格で作られています。
面積比で言えば約1.5倍もの違いがあります。
このサイズアップの恩恵は絶大です。
鳥山明先生の描く線は非常にシャープで情報量が多いのですが、新書判では縮小印刷によって潰れてしまっていた微細な描き込みが、完全版ではハッキリと視認できます。
特にナメック星編や魔人ブウ編のような、スケールの大きなバトルシーンにおいては、キャラクターの動きのダイナミズムが段違いです。
持ち運びやすさは旧単行本に軍配
一方で、A5判の完全版は大きく重いため、電車の中やベッドで寝転がりながら片手で読むには少々不向きです。
「ゴロゴロしながら気楽に読みたい」というニーズには、ハンディサイズの旧単行本の方が適しています。
本のサイズによるメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
なんでだ?並べたらバラバラ! 本のサイズについて – ユモカンパニー
全巻並べた背表紙の絵の魅力
全巻セットを購入するコレクターにとって、本棚に並べた時の「背表紙(背文字)」のデザインは、購入の決め手になり得る重要な要素です。
実は、42巻の単行本(旧版・リニューアル版)も完全版も、どちらも「全巻並べると絵が繋がる」というギミックがあります。
しかし、その「絵柄」はバージョンによって全く異なります。完全に好みが分かれるポイントですので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
単行本(42巻):旧版とリニューアル版の違い

単行本の背表紙は、漫画史に残る名ギミックです。
1巻から42巻までを順番に並べると、キャラクターたちが勢揃いした「一枚の長い絵巻物」が完成します。
昔の「旧単行本」は、キャラクターたちが右から左へ飛んだり走ったりしている絵柄で、動きのあるコミカルなデザインでした。(ヤジロベーが2回登場するのも有名です)
現在流通している「表紙リニューアル版(写真)」では、タイトルロゴと共にキャラクターたちがポーズを決めて並んでいる、落ち着いたデザインに変更されています。
子供の頃、本屋の棚でこの繋がる背表紙を見てワクワクした記憶がある方も多いのではないでしょうか。
この「並べて楽しい賑やかさ」に関しては、42巻の単行本版が圧倒的に勝っています。
完全版:疾走感あふれる競争アート

対して完全版の背表紙も、実は繋がる絵になっています。
黒や赤を基調としたシックなデザインの中に、キャラクターたちが全速力で走って競争しているような、疾走感あふれるイラストが描かれています。
リニューアル版のような「静」のイラストとは対照的に、非常に躍動感があり、モダンでカッコいい仕上がりです。
リビングや書斎の目立つ場所に置いても雑多な印象を与えず、スタイリッシュなインテリアとして機能します。
「漫画を大人っぽく飾りたい」という方にはこちらがおすすめです。
カラーページ再現とインクの質
「完全版」という名称は伊達ではありません。
その最大の特徴は、連載当時のカラー原稿を「完全」に収録している点にあります。
失われていた色彩の復活
週刊少年ジャンプ連載時、巻頭カラーやセンターカラーで描かれたページは、旧単行本に収録される際にモノクロ(網点)に変換されていました。
このプロセスで、本来の色が持っていた情報はグレーの濃淡に置き換わってしまい、絵の立体感が損なわれることがあったのです。
完全版では、これらが当時の原稿のまま鮮やかなカラーで印刷されています。
鳥山先生が得意とする、コピックマーカーを使った透明感のあるグラデーションや、独特の色使いを堪能できるのは完全版ならではの特権です。
2色刷りページの再現
また、ジャンプ特有の「赤黒2色刷り」のページも再現されています(一部フルカラー処理)。
単行本では真っ黒に塗りつぶされていた箇所が、実はオレンジがかった赤色だったことが分かると、シーンの空気感や光の当たり方の解釈が変わることもあります。
紙質の劣化リスクと保存性
中古で全巻セットを探す際、特に注意していただきたいのが「紙質」による保存性の違いです。
これは「一生モノ」として本を持つかどうかに関わる重要な問題です。
酸性紙による劣化問題
旧単行本(特に90年代以前の刷)には、コストの都合上、酸性紙(または中質紙)が多く使用されていました。
酸性紙は空気中の酸素や湿気と反応しやすく、経年劣化で「ヤケ」と呼ばれる茶色い変色を起こし、紙の繊維自体も脆くなります。
メルカリや古本屋で安価に売られている旧単行本セットの多くは、断面が茶色く変色しています。
これを「古本の味」と捉えることもできますが、読む際に紙の粉が出たり、アレルギーの原因になったりすることもあるため注意が必要です。
完全版の高耐久性
一方、完全版には保存性に優れた「上質紙」や「高白色度の微塗工紙」が採用されています。
紙の密度が高く、インクの裏写りも少ないため、黒色が深く沈んでコントラストの効いた美しい画面を楽しめます。
また、酸性紙に比べて経年劣化に強く、20年前に発売された初版であっても、いまだに新品同様の白さを保っている個体が多く存在します。
紙の劣化メカニズムや、国レベルでの保存対策については、国立国会図書館などの専門機関も情報を公開しています。
長期保存を考えるなら、紙の質は無視できない要素です。
(出典:国立国会図書館「資料保存の取り組み」)
ご自宅での本の保管方法については、以下の記事でも対策を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
読まない本の収納どうする?傷ませない保管術 – ユモカンパニー
全巻の巻数構成と収納スペース
「全巻揃えたいけど、置く場所がない」という悩みは深刻です。
それぞれの巻数と、実際に必要な本棚のスペースを比較してみましょう。
| 項目 | 旧単行本(JC) | 完全版 |
|---|---|---|
| 全巻数 | 全42巻 | 全34巻 |
| 完結状況 | 完結 | 完結 |
| 1冊の厚み | 約1.5cm | 約2.0cm |
| 必要な本棚の幅 | 約70cm | 約65cm |
意外かもしれませんが、横幅(本棚の占有スペース)だけで見ると、完全版の方が約5cmほど省スペースで収まります。
完全版は1冊あたりのページ数が多いため、全42巻の物語を全34巻に圧縮できているからです。
「冊数が多いと管理が大変」という方には、34巻で完結する完全版の方が心理的なハードルも低いかもしれません。
ドラゴンボール完全版と新装版の違いと選び方
ここまでは「モノ」としての物理的な違いを見てきました。
ここからは、より核心に迫る「中身(コンテンツ)」の違いについて解説します。
特に最終回の演出変更は、作品のテーマ性に関わる重要なポイントです。
最終回の加筆修正と結末
この点が、ファンにとって最も大きな議論の的であり、完全版を選ぶ最大の理由でもあります。
実は、完全版の最終巻には、鳥山明先生自身の手によって描き下ろされた4ページの加筆修正が含まれています。
旧単行本の「THE END」
旧単行本(および連載時)のラストは、悟空がウーブを背負って飛び去った後、「THE END」の文字と共に非常にドライに、あっさりと物語が幕を閉じます。
この唐突とも言える終わり方は、「鳥山明らしい潔さ」として評価される一方で、「少し寂しい」「余韻がない」という声もありました。
完全版の「新たな旅立ち」
完全版では、ラストシーンに大幅な演出変更が加えられています。
【クリックで表示】完全版の最終回に加筆された具体的な内容(ネタバレ注意)
完全版ラストの具体的な変更点(ネタバレ微小)
- 筋斗雲の継承:
悟空がウーブに「筋斗雲」を与えるシーンが追加されました。これは次世代へのバトンタッチを象徴する感動的な場面です。 - ベジータの独白:
飛び去る悟空を見送るベジータの表情とセリフが変更され、彼らのライバル関係がこれからも続いていくことを示唆する、希望に満ちた演出になっています。
この変更により、物語は「終了」するのではなく、「新たな伝説の始まり」として閉じられます。
読後の爽快感や温かさは完全版の方が強く、大人が読むとグッとくるものがあります。
全巻セットの値段と買取相場
現実的な問題として、購入費用の違いも見ておきましょう。
あくまで目安ですが、中古市場での相場観は以下のようになっています。
- 旧単行本(42巻セット):5,000円〜10,000円程度。
状態にこだわらなければ、4,000円台で見つかることもあります。「とにかく安く読みたい」ならこちら一択です。 - 完全版(34巻セット):15,000円〜20,000円程度。
新品で全巻揃えると約35,000円(税込)ほどになります。中古でも値崩れしにくく、人気が安定しています。
完全版は初期投資が高いですが、読み終わった後に売却することを考えると、買取価格も高値で安定しているため、実質的なコスト(差額)はそこまで大きくないとも言えます。
総集編やフルカラー版の特徴
検索結果には「総集編」や「フルカラー版」も表示されるため、迷う方もいるでしょう。
それぞれの特徴を簡潔に整理します。
- 総集編(Legendary Super Edition):
ジャンプ本誌と同じB5サイズで、当時のアオリ文句なども再現されたマニア向け仕様。ただし、雑誌と同じ「更紙」を使っているため劣化しやすく、分厚すぎて読みにくいのが難点です。 - フルカラー版:
全編デジタル着色されたバージョン。アニメから入った世代には馴染みやすいですが、鳥山先生のペンタッチやスクリーントーンの技術を楽しみたいなら、オリジナルのモノクロ版をおすすめします。
プロが教えるおすすめの選び方

ここまで比較してきましたが、結局どれを買えばいいの?と迷っている方へ。
古本を扱う私の視点から、ズバリ結論をお伝えします。
旧単行本をおすすめする人
「寝転がって気楽に読みたい」「ノスタルジーに浸りたい」なら旧単行本(JC)です。
多少汚れていても気にならない価格で手に入りますし、あの茶色くなった紙の匂いを嗅ぐだけで、少年時代にタイムスリップできます。
完全版をおすすめする人
「子供に読ませたい」「ずっと本棚に置いておきたい」なら迷わず完全版です。
紙が白くて目が疲れにくく、何より絵の細部まで美しいです。
加筆されたラストシーンは、親になった今の自分にこそ響くメッセージが含まれています。
ネット通販やフリマアプリで購入する際は、「タバコ臭」や「カビ」の有無を必ず商品説明文にて確認してください。
写真では分からないニオイの問題は、届いてから最も後悔するポイントです。
ドラゴンボール完全版と新装版の違いまとめ

今回は、ドラゴンボールの完全版と新装版(旧単行本)の違いについて徹底解説してきました。
サイズや紙質、収納スペースといった物理的な違いはもちろんですが、やはり最大の選定ポイントは「最終回の加筆」と「背表紙の絵」にあると思います。
どちらのバージョンにも、それぞれの良さと歴史があります。
あなたの読書スタイルや、ドラゴンボールという作品に対する想いに合わせて、ベストな相棒を選んでみてください。
どちらを選んだとしても、ページを開けば、あのワクワクする冒険があなたを待っていることに変わりはありませんから。