伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ相関図と繋がり!読む順番も徹底解説

いつもありがとうございます。ユモカンパニーです。
ミステリー小説界のトップランナー、伊坂幸太郎さんの作品の中でも、特に中毒性が高いと言われる「殺し屋シリーズ」。
ハリウッド映画『ブレット・トレイン』として映像化もされ、世界中で話題になりましたよね。
でも、いざ原作を読み始めようとすると、「どの作品から読めばいいの?」「キャラクター同士にどんな繋がりがあるの?」と、少し複雑で迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
一見それぞれが独立した物語に見えて、実は細部で緻密にリンクしているこのシリーズ。
相関図や世界観を整理してから読むことで、読書体験は何倍にも面白くなります。
「あのキャラがここで繋がるのか!」という発見は、まさに伊坂ミステリーの真骨頂です。
この記事では、私が実際に全作を読んで感じた魅力や、ファンだからこそ気づく隠れた設定について、ネタバレを最小限に抑えながら徹底的にご紹介していきます。
これから読み始める方も、途中で止まっている方も、ぜひ参考にしてくださいね。

この記事のポイント!
- 殺し屋シリーズのおすすめの読む順番と時系列
- 映画『ブレット・トレイン』と原作小説の意外な関係
- シリーズを跨いで登場するキャラクターと隠されたリンク
- 最新作『777』を最大限に楽しむためのストーリー予備知識
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ相関図と繋がりの基礎知識
まずは、このシリーズ全体を把握するための基本的な情報から整理していきましょう。
2004年の第一作から始まり、現在まで長期にわたって続くこのサーガは、一冊ずつ読んでももちろん面白いのですが、全体像を知ってから読むと「あ!」と気づく瞬間が増えてより楽しめます。
ここでは、よく検索されている「順番」や「映画との関連」について、私の視点でわかりやすく解説します。
読む順番と時系列を徹底解説
結論から言うと、このシリーズは「刊行順(出版された順番)」で読むのがおすすめです。
時系列が複雑に入り組んでいる作品もありますが、本シリーズは、基本的に出版順で読めば物語の流れを追いやすいです。
具体的には、以下の順番になります。
| 読む順番 | 作品名 | 刊行年 | 特徴・キーワード |
|---|---|---|---|
| 1 | グラスホッパー | 2004年 | シリーズの原点。渋谷、復讐、幻覚。 |
| 2 | マリアビートル | 2010年 | エンタメ全開。東北新幹線、群像劇。 |
| 3 | AX アックス | 2017年 | 家族ドラマ。恐妻家、息子、引退。 |
| 4 | 777 トリプルセブン | 2023年 | 不運の連鎖。高級ホテル、脱出。 |
※作品情報・刊行年はKADOKAWA公式書誌情報を参考にしています。
なぜ刊行順が重要なのか?

特に重要なのが、後の作品になればなるほど、過去の作品の重大なネタバレが含まれてくるという点です。
例えば『AX』や『777』では、過去の作品で「誰が生き残って、誰が死んだか」という決定的な結末が、登場人物の雑談としてサラッと語られてしまうことがあります。
「最新作が面白そうだから」といって『777』から入ってしまうと、過去の名作のサスペンス要素を台無しにしてしまう可能性が高いんです。
約20年分の歴史を順番に追いかけることで、キャラクターたちの「その後」を知る楽しみや、伊坂ワールドの深みを味わってください。
原作グラスホッパーから始まる世界

すべては2004年の『グラスホッパー』から始まりました。
この作品は、後のシリーズ作品に比べると、少し「ノワール(暗黒街)」の雰囲気が強く、哲学的な要素が多いのが特徴です。
妻を殺された元教師「鈴木」が、復讐のために裏社会「業者」の世界に足を踏み入れる……というストーリーなのですが、ここで描かれる「殺し屋業界」の不条理さや、独特のルールが、その後のすべての作品の土台になっています。
ここがポイント!
『グラスホッパー』には、「押し屋(交差点を狙う殺し屋)」、「自殺させ屋(言葉で追い込む殺し屋)」、「ナイフ使い」といった強烈な個性が登場します。
彼らの存在感や「伝説」が、後の作品でも度々語り草になるため、必読の一冊です。
この第1作を読んでおくことで、後の作品に出てくる「業者」という言葉の重みや、裏社会の空気感が手に取るようにわかるようになります。
映画ブレットトレインとの関係性

ブラッド・ピット主演で話題になったハリウッド映画『ブレット・トレイン』。この原作こそが、シリーズ第2作の『マリアビートル』です。
映画を見てこのシリーズに興味を持った方も多いと思いますが、「映画と小説は別物として楽しむ」のがおすすめです。
映画と小説の違いを楽しむ
映画はかなりコミカルで派手なアクション、そして日本風のサイバーパンクな世界観に振り切っていましたが、原作小説はもっと地に足がついた(といっても殺し屋だらけですが)設定です。
伊坂幸太郎さんらしい「群像劇」としての緻密な構成や、登場人物たちの内面描写がより深く描かれています。
映画の主人公「レディバグ」は、原作では「七尾(通称:天道虫)」という日本人として登場します。
映画のファンなら、原作を読むことで「あのシーンの元ネタはこれか!」「原作の七尾はこんなに悩んでいたのか」という発見がたくさんあるはずです。
マリアビートルでの七尾の活躍
シリーズ屈指の人気キャラと言えば、やはり「七尾(天道虫)」でしょう。
彼は凄腕の殺し屋……ではなく、「とにかくツイていない殺し屋」です。
簡単な仕事のはずが、なぜか常にトラブルに巻き込まれ、死体と遭遇し、命を狙われるハメになります。
『マリアビートル』では、東京発盛岡行きの東北新幹線という逃げ場のない密室で、彼の不運が炸裂します。
「降りようとした駅で降りられない」
「持っていたスーツケースが別のものと入れ替わる」
「トイレに入ったら死体がある」
そんな彼のコミカルな不運と、シリアスな殺し合いのギャップが、この作品の最大の魅力ですね。
彼というキャラクターを知っているかどうかで、後の『777』の面白さが大きく変わります。
最新作777を楽しむための予備知識

そして2023年の最新作『777(トリプルセブン)』。
これは実質的に『マリアビートル』の精神的続編と言っても過言ではありません。主人公は再び、あの不運な七尾です。
知っておくと楽しい
『マリアビートル』から『777』までは、物語の中で数年の時間が経過しています。
七尾も少しはベテランになったかと思いきや、その「不運」っぷりは健在どころかパワーアップしています。
今度の舞台は高級ホテル。「プレゼントを部屋に届けるだけ」という超簡単な仕事を請け負ったはずが、またしても殺し屋たちの抗争に巻き込まれます。
『マリアビートル』での彼の受難を知っている読者なら、「またかよ七尾!」とニヤニヤしながら読み進められるはず。
逆に言えば、七尾のキャラクターや過去のトラウマを知らずに読むと、その面白さは半減してしまいます。
まさに、シリーズを追いかけてきたファンへのご褒美のようなエンターテインメント作品ですね。(出典:KADOKAWA『777 トリプルセブン』書誌情報)
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ相関図が示す深い繋がり

殺し屋シリーズの相関関係(簡易整理)
- 共通世界:「業者」と呼ばれる仲介システムが全作品で共通
- 時間軸:刊行順=おおまかな時系列
- 人物の軸:七尾(天道虫)を中心に過去作の人物・事件が言及される
- 繋がり方:直接登場/噂話/ニュース・回想など間接的リンク
ここからは、もう少し踏み込んで、シリーズ間の「繋がり」や「相関図」の面白さについて深掘りしていきましょう。
伊坂作品の醍醐味は、なんといっても「あっちの作品のあの人が、こっちにも!」というリンクの発見にあります。
AXに見る恐妻家殺し屋の悲哀
第3作『AX(アックス)』は、少し毛色の違う作品です。
主人公の兜(カブト)は、超一流の殺し屋でありながら、家では妻に頭が上がらない「最強の恐妻家」。
この設定だけで面白いのですが、物語は家族愛をテーマにした感動的な展開を見せます。
実はこの作品、シリーズの他の作品と比べて「日常」の描写が多いのが特徴です。
しかし、ふとした瞬間に過去の作品(グラスホッパーやマリアビートル)の影が見え隠れします。
例えば、兜が仕事の依頼を受ける際に出てくる仲介業者や、同業者の噂話の中に、過去作のキャラクターの影を感じることができます。
「殺し屋業界」という非日常と、「家族」という日常の対比が素晴らしく、個人的にはシリーズで一番泣ける作品かなと思います。
登場人物の意外な再登場とリンク
ファンが最も盛り上がるのが、キャラクターの「クロスオーバー(再登場)」です。
ネタバレになるので具体的な名前は伏せますが、『AX』や『777』には、過去作で生き残ったあのキャラクターや、あるいは伝説として語られるあの殺し屋の話が登場します。
リンクを探す楽しさ
- 『グラスホッパー』のある人物が、意外な形で『AX』に関わっている?
- 『マリアビートル』のあのコンビの話が、後日談として語られる?
- ニュース映像として流れる事件が、実は別の作品のクライマックスシーン?
この「見えない糸」を探す作業こそが、相関図を作りたくなる理由なんですよね。
特に『777』では、七尾以外にも「おっ!」と思う人物の影がちらつくので、ぜひ注意深く読んでみてください。
伊坂先生は、こうしたファンサービスを非常に巧みに仕込んでくれます。
殺し屋業界のルールと仙台の謎
伊坂幸太郎さんといえば「仙台」が舞台の作品が多いことで有名ですが、この殺し屋シリーズに関しては、意外と舞台が移動します。
『グラスホッパー』は渋谷の雑踏、『マリアビートル』は移動中の新幹線、『777』は都内のホテル。
しかし、根底に流れているのは共通した「業者(ギョウシャ)」のルールです。
この世界では、殺し屋はあくまでビジネスライクな存在として描かれます。
「仕事を請け負う仲介業者がいる」
「同業者同士の暗黙の了解がある」
「裏切りには厳しい制裁がある」
こうしたドライな世界観が共有されているからこそ、場所が変わっても「ああ、これはあのシリーズの世界だ」と安心して没入できるんです。
特に「仲介業者」の存在は、物語を動かす重要なキーマンとして各作品に登場します。
蜜柑と檸檬に見るキャラの魅力
相関図を語る上で外せないのが、『マリアビートル』に登場する二人組の殺し屋、「蜜柑(ミカン)」と「檸檬(レモン)」です。
性格は正反対、でも息はぴったりのこのコンビは、映画『ブレット・トレイン』でも大人気でしたよね。
名コンビの特徴
蜜柑:文学を愛し、論理的で几帳面。仕事中はプロ意識が高い。
檸檬:『きかんしゃトーマス』を愛し、すべてをトーマスのキャラで例える直感派。
彼らの会話劇は、タランティーノ映画のような軽妙さがありつつ、プロフェッショナルとしての絆も感じさせます。
彼らのような強烈なキャラクターたちが、単なる「敵役」で終わらず、物語の主役級の輝きを放つのがこのシリーズの凄いところ。
読後にはきっと、彼らのことが大好きになっているはずです。
ネタバレなしで語る物語の構造
このシリーズの構造を相関図的に見ると、「七尾(天道虫)」という縦軸と、「各作品ごとの事件」という横軸が絡み合っているイメージです。
各作品は独立したエンターテインメントとして成立していますが、全体を通すと「殺し屋という生き方の悲哀と滑稽さ」という大きなテーマが見えてきます。
一見バラバラに見える事件も、「業者」というシステムの中で繋がっており、ある場所で起きた波紋が、数年後の別の作品に影響を与えている……そんな精緻なパズルを解くような快感が味わえます。
これから読む方は、ぜひ些細な記述も読み飛ばさずに、「繋がり」を意識してみてください。
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ相関図と繋がりのまとめ

今回は、伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズについて、相関図や繋がりの視点から解説しました。
改めてポイントを整理します。
- 迷ったら刊行順がおすすめ(グラスホッパー→マリアビートル→AX→777)
- シリーズ全体で約18年の時が流れており、世界観は完全に共有されている。
- 主人公「七尾」の不運を知っていると、最新作の面白さが倍増する。
- 映画『ブレット・トレイン』のファンも、原作の深みにハマること間違いなし。
殺伐とした設定なのに、どこかユーモラスで、最後には人間愛すら感じさせる。
そんな不思議な魅力を持つこのシリーズ、まだ読んでいない作品があれば、ぜひ手に取ってみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!